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スペック
   
全長:   0,7メートル
住みか   劇場などの舞台裏のどこかに潜んでいる。
出没時:   疲れていたり、ストレスが溜まってる時に好んで取り付く。
特徴:   目は大きく、前足は伸び縮みする。
性格:   人間を殺すことはないが、被害者の声をぬいたり、時には違う人の声に入れ替えたりして、周りを混乱させる。
イタズラなのか悪意があるのかは不明。
     

人の声を盗む「声ぬき」。
知らない間に背中にくっつき、長い前足を被害者の口に突っ込み声を抜くのだ。
寝てる人間にも襲ってくる。
一般の人ならまだしも、歌手や俳優、政治家など声を職業とする人たちにとっては大変なことだ。
最近でも歌手のビヨンセやアヴリルラヴィーン がコンサート中に声を失う出来事があったが、これが政治家など権力のある人におこったら社会の秩序に影響することも考えられる。
声ぬき」はあなどれない妖怪だ。

さて、今回の舞台となったパリ・オペラ座だが、今まで不思議な出来事が何度かおこっているのだ。

オペラ座の謎

オペラ座地下の湖:
オペラ・ガルニエの工事が着工したのは1861年。
しかし、セーヌ川の地下水脈により工事は難航した。
早速ポンプを設置し、八ヶ月間、日夜水を汲み上げる作業に取り掛かり、 地下に建物全体をささえる水槽を作った。
建設されたパリ・コミューン時代はこの水槽を倉庫がわりに使い、 1871年5月21日プロイセンの支援を得たヴェルサイユ軍(国防仮政府軍)との 市街戦では牢獄,処刑の場として使用された。

パリ・コミューンとは?
1870年9月から1871年5月までのパリ自治政府 のこと。
普仏戦争での惨めな敗北の結果ナポレオン3世で帝政は終わり、 ティエール率いる国防仮政府が成立。
しかしパリの労働者と国民軍は 戦争の終結を不服とし、国防仮政府が保守的であり、 プロイセンへの有効な抵抗を行っていないと非難し、プロイセン軍のパリ入城とに対応して国民衛兵隊連合が結成され抗戦を継続した。
1871年3月28日、国民衛兵中央委員会はパリの支配を確立。
このようにプロイセン軍の包囲下でパリの民衆が組織した抗戦団体がパリ・コミューンだ。


オペラ座の怪人:
これを元に、作家ガストン ルルーは1910年に刊行された「オペラ座の怪人」を書くんだ。
オペラ座の地下に広がる広大な水路に住み着いている謎の怪人。
その男、エリックは生来の醜悪な人相に壊死した皮膚を持つ、 見るもおぞましい異形の男だったが、投げ縄や奇術の天才であり、 オペラ座の若手女優クリスティーヌに恋をしていた。
彼は『天使の声』で 彼女を指導し、オペラ座の支配人に脅迫状を送り、彼女にアプローチをかけるが 、遂にクリスティーヌを誘拐してオペラ座の地下深く消える・・・




オペラ座のタイム・カプセル:
1907年12月24日、オペラ座の地下室で、フランス・グラモフォン社の社長 アルフレッド・クラーク氏と政府関係者が 当時の代表的な歌手の声が入ったレコード24枚を埋蔵した。
彼の時代の主要な歌手の声、オペラやドラマティックな名曲への彼らの解釈、 そして当時の録音技術を21世紀の人々に知らしめることが目的だった。 納められたレコードは100年の間触れることを禁じられて、2007年12月に取り出された。







舞台:パリ、オペラ座 - L’Opéra Garnier

オペラ座(ガルニエ宮)はパリにある歌劇場だ。
この建物はパリがオスマンにより再構築されたときに建てられ、1875年にオープンした。
その後、幾度の修復がされて、「声ぬき」の話にもでてくる、シャガールの天井絵は1964年に 設置された。
さて、オペラの観劇とはどんな感じだったのだろう。
1900年ごろの絵を見ながら想像してみよう!

 

今日は結婚記念日。
妻へのプレゼントに夫婦水入らずでオペラ観劇に行くことにした。
馬車に乗っていざ、オペラ座に! 今朝、雪が降ってパリは白一色!
あまりの寒さに道端で焚き火をする人たちも!


ジャン・ベロー画 Jean Béraud “ Devant l’Opéra” (オペラ座の前で)1879


オペラ座に入るとそこはどでかいロビー! きらびやかな装飾で飾られた空間に着飾った紳士淑女が集まってる。
なんて豪華なんだ! なんだか別の世界にいるみたいだ!


ジャン・ベロー画 Jean Béraud “Opéra de Paris, le grand Escalier”


いよいよ舞台が始まった。 妻が好きなバレエだ。
しかし正直いって私はバレエにはまったく興味がない。 しかしここはガマンガマン。 なぜかチラッと見える舞台裏に目がいってしまう。 かわいいバレリーナの中に怪しい男の姿が・・・


左:エドガー・ドガ画 「バレエの舞台稽古(Répétition de ballet)」1874
右:エドガー・ドガ画 「エトワール(La danseuse étoile)」1876

 

妻が舞台を鑑賞している間に私はオペラグラスでちょっと上の観客席をチラッ。
オオオッ!ボックス席にはまれに見る美しいご婦人!
ボーッとこちらを見ているようだ。 まさか私を見つめている?


左:ピエール・オーギュスト・ルノワール画  「桟敷席(さじきせき)La loge」 1874年
右:エバ・ゴンザレス画  「イタリア人座の桟敷席(Une loge aux Italiens)」1874年

長く感じられた舞台もやっと終わった・・・
ハーッ、疲れた。
と、廊下に出たその時、さっきのバルコニー席にいたご婦人の旦那さんが私の襟元をつかむなり 「家内をずっと除いていた、このすけべ野郎!」
と襲い掛かるやつが。
なんだこいつ!
ご婦人方が止めに入ったから収まったものの、殴り合いになっていたら私が勝っていたに決まっている。 ラッキーなやつだ。


ジャン・ベロー画 「オペラ座の廊下での喧嘩(Dispute dans les couloirs de l’Opéra) 」 1889

帰りに私は妻にこっぴどく叱られた。
私のオペラグラスの向こうにはいつも彼女しか写っていないことを告げたら 私の下手な説明にもかかわらず、妻は私を許してくれた。
こんなやさしい妻を持って、私は幸せ者だと、その晩、感じた。

エドワール・レオン・コルテス画 「雪のパリ、オペラ座(Paris sous la neige, Place de l’Opéra)」

*(このストーリーは絵画を使って勝手に構成したフィクションです。)

 


シャガールの天井絵の裏にはこんな絵が!

1964年に設置されたシャガールの天井絵の裏には最初に描かれた ジュル・ウジェンヌ・ルヌヴ(Jules Eugène Lenepveu) の絵が隠れている。
今ではレプリカがオルセー美術館で見られる。

 

 

 

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